工場見学・六甲味噌製造所編 | 栄養学生団体fun
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2018.02.07

工場見学・六甲味噌製造所編

 

関西では、甘めの米味噌が愛されています。なかでも、有名な関西の味噌といえば、白味噌の代表である京都の西京みそ・名古屋の赤だしなどがあり、一口に関西の味噌といっても地方色豊かな多くの種類と銘柄があります

今回は、関西で活動する学生栄養団体funのメンバーに馴染みの深い関西・芦屋の六甲味噌製造所に、味噌作りの見学に行きました

 

【味噌のはじまり】
味噌のルーツは、中国で古くから知られている醤油(ひしお:獣や魚の肉をすりつぶし、塩と酒を混ぜてつけ込み発酵させたもの)や豉(し:大豆を発酵させたもの)とされています。

これらが朝鮮を経由し日本に伝来してから、日本的に改変され、未だ醤ならざるもの・“未醤(みしょう・みそ)”という独自の大豆発酵食品が誕生し、やがて味噌という字が使われるようになりました

醤・鼓が日本に伝来して1300年。現代の日本の食卓に味噌は欠かせない存在です

【味噌の材料・大豆】
味噌工場は、ひやっと冷たく、大豆を蒸したような甘いにおいと味噌の芳香で満ちています。

まずは大豆などの材料を保管・味噌を休ませている倉庫の見学。

お米を保存するのによい温度に保っているそうです。

倉庫の右側には、味噌の原材料である大豆が高く積まれていました。地元兵庫県の国産大豆は、1~3等級に達する大粒できれいな高い品質のものしか購入しないそうです。大豆は種類によって味が異なるそうですが、六甲味噌さんの使う国産大豆は栗のようにほくほくとしています

 

現在日本で使われている大豆には、かつて満州大豆の名で親しまれた中国産大豆・色が白く淡泊な味わいのカナダ産・油脂含量が多いアメリカ産大豆などがあります
六甲味噌さんでは、国産大豆の他にカナダ産などの外国産大豆を原材料とする味噌もあり、実際に手にとって比べると、国産大豆のほうがぷっくりと丸く大きいことが分かります。

 

これらの大豆は煮るのではなく、圧力をかけて蒸すことで、産地や大きさの違う大豆だとしても、均等に芯まで軟らかくできるのです。大豆に火を加えると、麹菌が大豆に対して働きかけを行いやすくなるほか、トリプシンインヒビターなど生大豆に含まれる有害物質を失活したりヘキサナールなどの生大豆臭を除去する効果が期待できます

 

 

【発酵に欠かせない麹】
そして、発酵にかかせないのが、なんといっても麹。麹は、蒸した雑穀に麹菌を繁殖させたもので、味噌に甘味やうまみ・味噌らしい風味を与えます。六甲味噌さんでは、蒸した米に麹菌を繁殖させた米麹を用いることから、麹を、糀(こうじ)という漢字で表現されることもあります。見せていただいたのは、袋に入った麹菌。

なんと、たった一袋で米200㎏を糀にするのだとか!

さらさらときめの細かい粉のような見た目で、緑の袋が赤味噌用・白の袋が白味噌用となっています。一般的に辛味噌用には熟成による旨味を生み出す“プロテアーゼ”の強いものを、甘味噌用にはでんぷんを糖に変える“アミラーゼ”の強いものが使われる傾向があります。麹菌と一言にいっても、様々な種類があるのですね。

そして、糀づくりで大切なのは、破精(はぜ)です。破精とは、菌糸が米のすみずみまで行きわたった状態のことで、破精の具合が味噌の品質を決め、個性を生み出します。今回は、麹菌をつけてまだ十分に時間がたっていない糀と、十分に破精て(はぜて)いる糀の、2種類の糀を試食させて頂きました。前者は、菌糸が十分に行きわたっておらず、透明感のある甘味の少ない米粒でした。後者は、全体が白っぽくなっており、溶けるような甘味が感じられます。

【味噌作りの重要アイテム・重石】
重石は味噌を美味しく熟成させる重要なアイテムです。熟成中に発生したガスが固体を上に押し上げることで、桶の上部に固体・下部に水分といった具合に分離してしまうことや、金属塩化物である食塩が下に沈み下部がしょっぱくなることなど、熟成にはリスクがつきものです。重石は、上から抑えることで、ガスを抜き、均一な発酵や風味の維持を助けてくれます。

 

【味噌の試食】

白味噌:セラミックのうすで挽く前の白味噌2種類と、挽いた後の計3種類を試食しました。うすで挽く前の白粒の状態は、大豆の粒が残っており、茹でた落花生のような食感と大豆の甘い香りが特徴です。この白粒の状態で数週間寝かせたものも試食。尖っていた塩味が丸みを帯びて、優しい印象の味噌に変身していました。そして最後には、商品として販売されている挽いたあとの味噌も味見。くちどけがよく、バランスのとれた素晴らしい味噌です。思わず笑みがこぼれます。

赤味噌:六甲味噌の米赤味噌のほとんどは、天然醸造です。天然醸造により、じっくり熟成された味噌は、塩の粒子にアミノ酸の層が何重にも取り巻いているため、加熱してもこのうまみの層が壊れにくく丸みのある味わいが楽しめます。じっくり加熱するのにぴったりな六甲味噌の米赤味噌は、サバの味噌煮などにもぴったりですね。

【最後に】
地球温暖化による味噌の天然醸造の複雑化・遺伝子組み換えやハイブリッド種の大豆の登場・米などの味噌原料を育てる作り手の減少などが味噌業界を悩ませています
日本が長年育んできたこの素晴らしい味噌文化を後世に語り継ぐためには、消費者が食に対する正しい知識をもつことが求められています。

【六甲味噌製造所のご紹介】
◎六甲味噌製造所見学ツアーのお知らせ(有限会社六甲味噌製造所公式ホームページより)https://www.rokkomiso.co.jp/company/visit.html

◎六甲味噌製造所による味噌作り教室のお知らせ(同上)
https://www.rokkomiso.co.jp/class/

 

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住所:兵庫県芦屋市大原町9-1-806 株式会社然 内(http://www.zen-marche.com/

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【発行者】 fun実行委員会

~栄養学生団体【fun】は、関西を中心とした
    栄養士・管理栄養士養成コースの学生が活動する団体です。~

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